第57章 屈強な男達の闘い
防弾が備わったスーツを着ていてよかった。
そう感じながら、再び銃口を相手に向ける。
"一瞬の迷いが、死につながる"
それは今までの経験から分かること。
生半可な覚悟で畠中は極道というなの烙印をその身に刻んでいない。
ジリジリと間合いをつめながら相手の様子を伺う。
敵もまた然り。
気づけば手が届く距離まで来ていた。
――引き金を引けば確実に相手を殺れる。
が、先程みたく相手の方が先に引くかもしれない。
そう思うと、なかなか引けないもどかしさが全身に走った。
これは駆け引き。
命をかけた。
負ければ即地獄行き。
勝てば、裏の世界では名を上げられる。
ゴクリと息を飲むと、引き金を引く―――のではなく、素早く左足を相手の身体に放った。
ガチャガチャガチャ―――
拳銃が地面をのたうちまわっている。
勝った。
そう思いながら、敵の頭に銃口を向けた。