第57章 屈強な男達の闘い
「岩永かアホ永か知らんけど、男ならステゴロ(素手喧嘩)やろ。」
善司が拳を握りしめている。
「おまん、ハジキにヤッパもっとるくせによう言えるの。」
「間違えたッ!!」
善司は道具をしまった。
――どういう間違えかただよ。
純粋に岩永は思った。
「これでいいやろがいッ!!」
手ぶらになった手を握りしめる。
「……まぁ、これじゃあフェアじゃないな。おまんがその気になっとるんに、ワシがハジキもっとったら勝っても嬉しくない。」
そう言って拳銃をしまい、防弾性服を脱ぐ。
背中の鮮やかな如来の刺青が露になった。
「よっしゃ、これて対等やな。ここはワシが死守するんジャッ!!」
善司が力一杯足を踏み込んだ。