第57章 屈強な男達の闘い
はずだった。
「なんで………防弾チョッキか。おうちゃくせんでドタマ狙えばよかったわッ!!」
こめかみに青筋を浮かべながら奥歯をギリギリと食いしばっている。
「おまんはアホか?敵地乗り込むのに防弾チョッキは当たり前やろが。」
パァンッ――
パァンッ―――
弾丸が善司に向かって飛んでくる。
―――こんなところで死ぬわけにはいかんわッ。
とっさに地面に伏せた。
上空を弾丸が過ぎ去っていく。
距離があったからこそ出来た技だ。
「うわッ―――」
しかし、弾は味方の構成員の足に命中した。
構成員が傷口から血をタラタラと流している。
立ち上がってそれを見た善司は、自分の行為に悔やんだ。
避けるべきではなかった―――と。
だが、後悔している場合ではない。
きっと、目の前立ちふさがるこの大男を殺らなければ、ここを死守することは出来ない。
しかし、コイツはただ者じゃない。
そう、彼の中の第六感が感じ取っている。
「部下を犠牲にしてジブンが助かる言うのは、おまん金筋者(筋金入りの極道)やな。笑けるわ。」
クックッと男の喉が鳴っている。
「だから、なんジャオッサン。」
「いや、おまんがオッサンやろ。」
「歳いくつジャ?」
「27だ。」
「嘘こけ!!その顔でワシより下なわけあるかいッ!!」
「嘘あるかい!!岩永組若頭この岩永雅俊、れっきとした27や!!
そう言って、岩永が懐の財布から免許書を取り出した。
「見えんわボケッ!!」
善司が叫んでくる。
「見にこいやッ!!」
「敵のとこにノコノコ見に行く奴がどこにおるんジャ!!」
「そりゃそうだ。」
岩永がそれをしまった。