第57章 屈強な男達の闘い
"死の神"
その場にいた誰もが思った。
善司は今、死の神そのもの。
普段は、こう言ってはなんだが、バカ丸出しの男であるが、命の駆けひきとなると、それは恐ろしいものに彼は変身する。
組の為、いや西條会の為。
彼を動かしている原動力はそんなものではない。
"殺戮"
ただ、それを楽しむ事だけに執着している。
「さっさと、かかってこんかい。蛆虫(うじむし)共が。おどれらは、獲物に群がる蛆となんら変わらんわ。だが、蛆ごときがワシを喰らえると思うなッ!!」
そう言って、敵の構成員に向かって善司は走り出した。
パァンッ――
乾いた音と共に、前から銃弾が飛んでくる。
ヒュン―――
耳に聞こえてくる空気を切るような音。
そして、ジワジワと痛む肩。
「擦ったか。」
善司は肩を触った。
触れた手に、僅かだが血が付いている。
「チッ――」
善司は舌打ちをした。
「おまんは突っ込みすぎやないか?」
拳銃を構えた坊主の大男が善司を見ている。
「突っ込むんが武闘派のワシの性分なんジャ、豪龍会の蛆…いや、デカイ蠅(ハエ)に言われとうないわッ!!」
パァン――
パァン――
後ろから拳銃を取りだし弾を放つ。
乾いた音と共に、男の肉に弾丸がめり込んだ。