第57章 屈強な男達の闘い
ズシャアッ――
ギラリと光る銀の刃物が服の上から肉を引き裂く音が辺りに響く。
「うァッ――」
血飛沫と共に男の悲鳴が空に舞う。
ドザッ――
ゆっくりと、男は地面に崩れ落ちた。
「ヒッ―――」
周りの者が後ずさった。
グシャァッ―――
「豪龍会がなんぼのもんジャあッ!!行ったれぇッ!!殺って殺って殺りまくって、山代組の名を上げろッ!!」
倒れた男の胸を踏み込みながら善司が哮った。
パァンッ――
パァンッ――
パァンッ――
それと同時に、銃声が鳴り響く。
怯んだ江田派の構成員達に弾丸の雨が降り注ぐ。
「――て、ワシの後ろから撃ってどうすんジャ!!ワシに当たるやろがッ!!」
振り向いて、善司が叫んだ。
「若!!」
その瞬間、山代組の構成員が叫ぶ。
「……わかっとるわ。」
善司は振り向かずにドスを持ち変えた。
ブシュッ―――
ドスが何かを貫いた。
人だ。
ジワジワと銀色の刃がどす黒い紅の色に侵食されていく。
ポタッ――
ポタッ――
地面に生々しい跡を残していく。
「ワシの後ろ狙おうなんざ、百年早いんジャッ!!」
ブシャアッ―――
声と共に、勢いよくドスをを引き抜いた。
飛沫が顔に模様をつける。
「のぅ。」
じゅるッ―――
ニヤリと口角をつり上げながら舌でそれを舐めた。