第1章 彼氏
「せめーけど座れよ。」
「う…うん。」
あたしは近くにあった黒いソファーに座った。
「何か飲む?つっても酒しかねーけど。」
「お酒でいいよ。」
「ん。」
「ありがとう。」
彼もあたしに酒を渡すとあたしの向かいに座った。
テーブル越しに見える酒を飲む彼の顔。
なんだかドキドキする。
それを隠すようにあたしは酒を飲んだ。
そーいえば、あたしお酒強くないんだ…。
半分以上飲み終えた頃、だんだん頭がクラクラしてきた。
「何かみる?」
「…んぅ…。」
誠也君の言葉に上手く返せただろうか?
段々、彼の顔が歪んできた。
「…おい、大丈夫か?」
何かが近付いてくる。
彼?
何?
頭が回らない。
でも……彼が
「……好きぃ。」
そこで記憶が途切れた。