第1章 2人の距離
次の日。
今日も撮影で楓ちゃんと由梨ちゃんがヘアメイク。
昨日の事はなかった様に振る舞うと最初戸惑っていたのが午後になるにつれ由梨ちゃんも普通になっていった
そんな時に翔さんが昨日の話題を振ってその話で盛り上がり始めるとそういえばと昨日の由梨ちゃんについて潤くんが言い出したので内心、うわー。と思いつつヘアメイクに支障ない程度にゲームをしていた。
「楓ちゃんも昨日は楽しかったの?」
話題を変えてあげようと思いそう言ったあとチラッと由梨ちゃんを見てフフッと笑うとちょっと困り顔をしていた由梨ちゃんは少し安心したような顔をした。
その後は、エスパー⁈とかよくわかんない事を言ってたりしてなんとか話題がそれた。
それから数日は順調に撮影も進み、暫く一緒にいるからかスタッフみんなともかなり仲良くなっていた。
いつのまにか俺以外にもみんな由梨ちゃん。と名前呼びになっていて由梨ちゃんは俺をニノさん。と呼ぶようになっていた。
やっぱりあれかな。
あの衝撃的なのを目撃してから多少仲良くなれた気がする。
それに由梨ちゃんはやっぱり面白い。
おっちょこちょいって言うのかな。
カラフルな羽ピンつけて帰ろうとするし。
俺が教えてあげなかったら絶対あのまま帰ってたよ。あの人。
仕事はできるのにその謎の抜け感がなんとも面白い人だなと思った。
それと同時に少し心配になる。
あの時のあれはやっぱり俺の考えてるもんなのか。
今回の仕事は海外ロケもあり、二手に分かれることになった。
俺は翔さんと一緒。ちなみにヘアメイクは由梨ちゃん。
飛行機で向かう時、座席に座り腰を摩り顔を歪める由梨ちゃんを見た。
そして拳をぎゅっと握る姿も。
もしかして。
そんなことが過ったが皆んながいる前でそんな事も聞けない。
ホテルで一休みできることになり翔さんに観光に誘われたがそれを断り由梨ちゃんの元へ向かった。
ノックをすると扉が開き、何故?という顔をしている由梨ちゃんをチラッと見てササっと部屋に進入した。