第5章 2人の距離 5
風呂に入りゲームをしながらつまみを少しつまみつつ酒を飲んで居たが未だに帰って来ない由梨に流石に少し心配になり電話をかけた
長くコール音が鳴ってもう切ろうかと思った時にやっと出て少し安心した
「あ、由梨今帰り?」
どうやらまだ外にいるみたいだ。
ガヤガヤと人の声が聞こえる
「いや、今ちょっと。立て込んでて」
その声は少しトーンが低めで何かあったと思わせる様で、そう。大丈夫?と心配するが、はい。と答える由梨
「さっきさ、楓ちゃんが来て忘れ物届けに来たけど。これ、食べてるけど良いの?俺の?」
もう既につまみながらそう聞くと突然、あっ!!と何時もの由梨のトーンで喋るので思わずフフッと笑っていた。
「それと、もう一つ。楓ちゃんが由梨帰って来てないの心配だったみたいだから。」
笑いながらそう言うと、すみません。と謝る
「いーえ。…由梨?迎え行こうか?」
やっぱり何時もの雰囲気とはちょっと違う由梨が心配になりそう言うがちょっと笑いながら断られた
「大丈夫です。自分で帰れます。…あと、おつまみもお土産なんで遠慮なく」
笑ってるなら大丈夫かと安心して、わかった。気をつけてね。と電話を切った。
その日由梨が帰って来たのはもう直ぐ次の日になりそうになる頃だった
そーっとリビングに入ってくる由梨に、あ、お帰り。と言ってゲームの中断ボタンを押しテレビを消した。
「ただいまです。遠慮なくしてて良いですよ?」
そんな事を言うがもうゲームには今は興味は無くなっていてテーブルの上に置きっぱなしのビール缶やお土産で買った食べかけのおつまみを片付けていた。
由梨もそれを手伝おうとするが疲れてる顔をしているから、良いから風呂沸いてるから入ったら?と言うとそれに素直に従う由梨
なんかあったな。
そんなことが過った。
片付けも済み寝室でうつ伏せになりながら携帯を弄って待っていると風呂上がりの由梨が来て隣に素早く入り込みピタっとくっ付いて目を閉じる
携帯を置き、ぎゅっと抱きしめた。
由梨も強めに抱きしめ返すので、何かあった?と聞くと少し驚いていた
「どうしてわかるんですか?」
思わずフフッと笑う
いや、分かりやすいから。