第4章 2人の距離 4
「そんな顔しないでください。…私怒ってないです。それにちょっと嬉しかったから」
笑ってそう言う由梨
「お母さんもお父さんもお姉さんも。優しくしていただいて。…家族の水入らずにすみませんでした。」
今度は由梨が頭を下げるので、バカだな。と笑った。
そんなこと気にする必要がない。
母さんも姉ちゃんも父さんもそんなこと考えもしていない。
寧ろ俺の方にはまったく興味なかったし。
その後は家から出ずに自分のしたいことをして過ごした
俺はゲームしたりビール飲みながらたまに台本読んだり
由梨は多分家事とか仕事の準備とか。
お互いそんなに気にしないで過ごしていたのでほとんど会話はなかった。
あるとしたら、お茶飲みますか?とかそんくらい。
だんだん暗くなるに連れ由梨に変化が出てきた。
ソワソワしだして。
隣に座って仕事の資料みたいなのを見ているけど多分集中はしていない。
んで、チラッとたまに俺を見る。
面白いからほっといたけど我慢できなくなってきてわざと、ん〜。と背伸びをして、由梨まだ行かない?と聞くと何事もないかのように、そうですね。と答える由梨
「ならさ〜。ちょっと添い寝してってよ」
酔いもあってかニヤニヤが隠せなくて笑いながらそう言うとコクンと頷く由梨
寝室に行き先に横になり隣をぽんぽんとすると素直に隣に潜り込んでくる。
自然に抱きしめると胸に顔を埋めてくる。
由梨の香りは以前と変わらず甘すぎず優しい香りで凄く癒される。
一瞬寝落ちしそうになった時に俺の服をぎゅっとするので、ん?と聞くと少し離れゆっくりと見上げる由梨
どうかした?と聞くと由梨の顔が近づいてきてそっと唇にキスされた。
そして直ぐに顔を下に向けてしまう
初めてかもしれない
いつもは俺から軽く触れるだけでそれを受け入れてはくれるけど自分からはしてこない由梨
そうか
だからソワソワしていたのね
また俺の意地悪心を擽る由梨
フッと笑い、こっち向いて?と言うとゆっくりと顔を上げ俺を見る
「…これがしたくてずっとソワソワしてたの?」