第4章 2人の距離 4
「なんでさ。…それ先に言わないのよ。バカね。」
ちょっと涙声でそう言う母さんはハハッと笑った。
「和の好きにしなさい。…でも、お姉ちゃんとお父さんにも軽く説明させてね。大事な事だから。」
わかった。と言うと、早く会わせなさいよ。由梨ちゃん。と言うので再度、わかったよ。と言って電話を切った。
その後、暫くすると姉ちゃんからメールが来ていて、どんな子なの?とたった一文。
なんだこれ。と思いつつ、礼儀の正しい子。と同じく一文のみで返信した。
実際嘘は言っていない。
由梨は礼儀正しすぎるくらいだ。
良く一緒に飲みに行っていた時だって帰るまでしっかりと頭を下げて行く。
これは仲良くなってからもかわらない。
今もほとんど由梨の家に入り浸っているのに、キスまでしているのにいつまで経っても敬語で。
タメ口に慣れてる俺にしたらここまで仲良くなれた人に対して敬語で接するのは凄いと思う。
でもそれに距離を感じる訳じゃなくて。
寧ろ自然体でそれなのが由梨らしくて良いなと思った
「由梨明日って夜からだっけ?」
ある日夜寝る時にそう聞くと、はい。と答える
明日は俺は久々のオフ
由梨も明日は夜中に入りらしいので滅多にない2人の時間
家でのんびりするのも俺的には最高なんだけど2人で時間が空くのは次はいつなのだろうと思うとないに等しい。
だから明日しかないと思った
母さんには事前に明日行くと行ってある。
「じゃあさ、明日ちょっと付き合ってくんない?」
何処にですか?と聞き返す由梨を優しく抱きしめた
力の抜けきった由梨は多分安心してくれているのだろう
「実家なんだけどさー。昼飯食いに来いって言うから」
軽く言うと驚いたのかパッと俺から離れる
「え、いやいや。…それ私行っちゃダメなんじゃないでしょうか?」
焦る由梨にフフッと笑いかけ身体を引き寄せてまた抱きしめた。
「大丈夫。…というかもうさっき連絡しちゃったし。決定事項だから。」
頭をぽんぽんとすると渋々といった形で、わかりました。と返事をする由梨
今回の顔合わせはこのくらい強引でないと乗ってくれないとわかっていたから由梨には申し訳ないけど勝手にやらせてもらった