第4章 2人の距離 4
「あんた。元気な事知ってるけど酒ばっか飲んでんじゃないでしょうね」
通話にした瞬間にお小言を言うのは母ちゃんで、そうでもないよ。と返すと、そう。と対して興味無さそうに言う
「んで?なによ。何かあったんじゃないの?」
要件が無いと連絡は来ない筈なのでそう言うと、そうそう!と言う
「休みないの?たまには帰ってきなさいよ。昼ごはんでも良いから。」
あー。そうだねー。と棒読みで言うと行きたくないのがわかったらしくて、あんたって男は。といつの時代劇よと思う様なセリフじみた返事が帰ってきてンフフッと思わず笑った。
そしてその時思いついた。
これはちょっとしたチャンスだなって。
「あー。そしたらさ。連れて行きたい人いんだけど。」
俺がそう言うと、誰?雅紀くん?と何故か相葉さんの名前が出るので、違うから。と笑うと何か感づいたのか、え、嘘でしょ。とちょっと慌てて居た。
「感づいたみたいだけど、ほんとそれだから。俺多分結婚すんわ」
ゲームをしながらそう言うとBGMが聞こえたみたいで、ゲームしながらみたいだけど冗談じゃないよね?と言うので、うん。と言った
「挨拶がてらみたいな感じで帰ろうかな。向こうと合わせて」
「ねぇ、その前に聞きたいんだけどどんな人なのよ。同じ仕事の人?」
裏の方ね。ヘアメイク。と言うと、あぁ。と納得する
「それよりも何でこんな突然。大丈夫なの?」
今まで何にも伝えてなかったからな。
当然ちゃあ当然なんだけどね。
正直大丈夫かっていう保証はない。
どうだろうね。と曖昧な返事しかできない。
それでも一緒に居たいって思ってしまうのは多分それが由梨だから。
結婚すると周りには言ってあるけど由梨には黙って居て欲しいと伝えると何故だ。と言うので仕方なくある程度のざっくりした話をした。
今の由梨に結婚してほしいと伝えても逃げてしまうと思ったから。
「あんたねー。…それ、彼女には伝えてないって事でしょ?結婚って2人の問題でもあるけど家族の問題でもあるのよ?」
「わかってるよ。…でもその家族が相手には居なかったら?」
もう仕方がない。
由梨の家族のこと。
お腹の子供のこと。
話せる範囲で話をすると黙ってしまった。