第4章 2人の距離 4
「そういえば。楓さんのこと。すみませんでした。」
謝る由梨に、いーえ。と返した。
「…でも俺さ。そんな風に見えんのかね?機能しないとか初めて言われたわ」
思い出し笑いが出てしまう。
あの時の衝撃と言ったらほんとに。
「どうしてそこまで話が発展してしまったのか。ほんと申し訳ないです」
本当に申し訳なさそうに言う由梨が真剣すぎて面白くてフフッと笑う
「いや、いーんだよ。別に怒ってないし。…まぁ、でもね?由梨にまでそんな事思われちゃうのはちょっとね。」
そう言って少し身体を離して由梨を見つめた
「…あんまり怖がんないで聞いてくれる?」
思わず不安なのが声に出てしまう
「…俺さ。これでも我慢してんのよ。」
実際抱きしめたらその先を求めるもので。
それでも今の由梨に必要ないことだってわかってる
すみません。と謝る由梨
その顔がまた虐めたくなるような顔で、
「なんで謝んのよ。…俺が好きにやってることなんだからさ、まぁでも。流石に少し進展させてみる?」
そう言って優しく見つめると戸惑った顔をする。
動揺している由梨をフッと笑い頬に片手を沿わせて少し顔を上向きにさせそっと触れるだけのキスをした。
キスした瞬間に、ふっ。と漏れる由梨の吐息にドキッとした。
普段はそういう雰囲気を作らないようにしている。
唇を離して由梨を見つめると少し赤くなっていてちょっと後悔した。
由梨の中にはまだ多分前の彼が残っていて。
俺がそこに無理矢理入り込んでしまったらまた由梨を困らせる。
「ごめん。由梨。…今はまだこういうのいらないよな」
首を横に振る由梨
「ニノさんは、…なんでも分かっちゃって。それが怖いです。」
そんな事を言う由梨が可愛くてフッと笑う
「でも、一つだけ違うことがありますよ。」
そう言って俺の唇を指でなぞった。
「…キス。しても良いんですよ?私、それくらいでニノさんのこと嫌いになれません」