第3章 2人の距離3
オートロックの前で待っていると追いついてきて開けてくれたので部屋番号を聞いてみるとまた素直に答える由梨
キャリーケースを引いてエレベーターに乗り込んだ。
この人いつかストーカーとかにあわないと良いけど。
誰にでも素直なのか。
それとも俺を信用して教えてくれたのか。
後者だったら良いけどと考えちょっとニヤつく
玄関先まで荷物を運ぶと、ありがとうございますと綺麗に一礼する由梨
「いえいえ。…にしても重いな。いつもメイクさん見て重そうだなとは思ってたけど。こんなん持ってたら腕パンパンだな」
フフッと笑いながらそう言うと、本当にすみません。と申し訳なさそうな顔をして、ニノさんの方が疲れてるのに。と続けるので、いーよ。と軽くあしらった
「んーそうだな。…じゃあ休憩させてもらおうかな。」
ふざけてそう言うと、はい?と素っ頓狂な返事をする由梨
暫くフリーズして考え込んでるけど全部顔に出てるからね
「なに?部屋汚いの?…俺そういうの気にしないけど」
笑ってるのが気付かれないようにそう言うと、部屋は汚くないはず。とボソッと言うのでちょっと強引に、じゃあ休憩〜。と靴を脱ぎ由梨の横をすり抜けて行った。
えっ…ニノさん。と慌てる由梨を気にせずリビングに向かいソファに座った。
「あぁ〜。やっぱりね。」
そう言って辺りを少し見渡した後ソファに寄りかかった。
由梨の部屋は女性っぽくないっていうか、割とナチュラルなテイストで。
まあ、部屋は由梨のにおいがして酷く落ち着く。
あたりをキョロキョロ見渡して慌てる由梨
多分俺が変なもの見つけたと思っているのだろう
その慌てっぷりが面白くてクスッと笑った
「いや。思ったとおりよ。…落ち着く。」
そう言って首をソファに預けて目を瞑る。
あぁ。
ほんと落ち着く。
ちょっとからかって直ぐに帰るつもりだったのにケツに根っこが生えたんじゃないかくらいこの部屋は居心地が良かった
由梨がどっかに行った足音が聞こえ目を開けゲームを鞄から出し開く。
暫くすると、どうぞ。と紅茶を置く由梨
ありがとう。と少し口をつけてまたゲームを再開する。