第2章 2人の距離2
多分今の俺の顔はかっこいいもんではなくて心配しているのが全面に出ていると思う
やっぱり気づいたのか由梨は少し震えていて拳をぎゅっと握りしめた
握った時にリップが手に当たり床に転がった
ゲームをソファに置き立ち上がりリップを拾いあげ由梨に近づく
「また、震えてる。」
リップを手渡すとゆっくりと開かれる手に乗せそのまま手を包み込んだ。でも直ぐに引っ込められてしまう手
だよな
やめようって話したし。
それでも少し触れてしまった自分に後悔した。
由梨を見て様子を伺うと涙を堪えているのが分かる
俺をチラッと見るその目には拒否の視線ではなくて、むしろ逆で。
もう。どうなってもいーや。
そんな事を思った。
「俺さ、「あれー。やっぱニノ先帰ってたんだ」」
言いかけた時に相葉くんがそう言って控え室に入ってきて後の3人も戻ってきた。
咄嗟にヘアメイク直しをしている風を装う由梨に合わせて行動する
俺。
何言おうとした?
絶対言ってはいけないこと言おうとしてた。
この時ばかりは相葉さんに感謝した。
その後はやっぱりちょっと気まずくなっちゃったけど多分誰にも気づかれてないと思う。
撮影が終わり早々に着替え次の現場に向かった。
早くあの場所から居なくなりたい。
一番初めにマネージャーの運転する車に乗り込むとマネージャーに恐ろしいものを見たような顔をされた。
「…失礼だな。俺だって早く歩けるわ」
いつも歩く速度が遅いと言われているので一番に俺がいるのが信じられないらしい。
「いや、なんも言ってないじゃないですか」
もう目が語ってんのよ。それ。と言うとアハハ。と乾いた笑いをする。
そして次に乗り込んだ翔さんに全く同じ顔をされて思わず笑った
「やめて。言いたいことわかってるから。」
俺がそう言うとマネージャーが吹き出して肩が震えてる
その後はいつも通りの車内で安心した。
今多分今日の中で一番リラックスしてる
由梨のいる控え室は由梨との距離はどんなもんだったかと探り失敗して
もうこの場所に居たくないと拒否反応が出て居た
別に嫌いになった訳じゃない
それより逆で触れてしまいたい。とどっかで考えていた
欲はどんどん強くなる一方で抑えが効かなくなりそうだった