第1章 2人の距離
「…どんなやつでした?」
突然そんな事を言い出すので、はい?と素っ頓狂な声を出してしまった
それって。…重要?と聞くと、はい!かなり重要です!と言う由梨
えーとっと考え込むふりをする。
実際は考えなくても鮮明に覚えていた。
「えーと。…確か、ブルーだった様な」
俺の言葉にはぁぁぁ。と大きい溜息をつき落ち込む由梨
思わず慌てて謝った
「えっ?なんかごめん。何色が良かったの?……いや、違うか。そもそも見られたくないよな。」
それでも由梨は落ち込んでいてどうしようと思っていたら
「いや、本当に見苦しかったですね。すみません。」
と少し立ち直り深々と頭を下げるけど俺が何故謝られてるんだ
「いやいや!俺謝られる事されてないから!寧ろごめんな。」
と2人して謝り合っていた。
暫く謝り合っていたけどもう見ちゃったものはしょうがない。
「まー、さ。そんなにはっきり見た訳じゃないし。」
頭をポリポリ掻きながら言うと、わかりました。忘れてください。と言うので、おー。と返事をした。
その後は仕事の話をしたり、くだらない話をしたり。
あっという間に時間は過ぎて行き由梨の家の前まで来てしまった
「ありがとうございました」
深々と礼儀正しく頭を下げる由梨
「いーえ。こちらこそ長い事付き合ってくれてありがとう」
それに対して少し頭を下げながら言った
じゃあ。と言って車を降りようとするから思わず、ちょっと待って。と引き止めた。
帰したくない。
「なんです、」
言い終わる前にぎゅっと抱きしめた。
前に抱きしめた時と同じ匂いがする
それに気持ちが持っていかれそうになった。
このまま連れて帰りたい。
そして抱き枕として使用したい。
由梨に抱く感情は今まで好きになった人とは違ってちょっと複雑な感情だった。
「あー和むわー。」
そう言って由梨が腕の中で固まっているのが面白くてフフッと笑った
「由梨びっくりしすぎ。もう何度もハグした仲じゃない。」
俺の言葉に少し反応する由梨
「またドライブしようか…今日結構楽しかったわ。」
そう言ってそろそろ離してあげようと思い離れた
由梨はふぅと一息つき、そうですね。と返事した