第1章 2人の距離
それから何週間たっても由梨から連絡はなかった。
もしかしたら。バレたのか?
そんな事も考えた。
そして由梨の連絡先を聞きそびれたのも後から気付いて後悔するっていうアホ
ほんとなにやってんだよ俺。
週末の特番生放送の歌番組に出るために楽屋入りしてお馴染み楓ちゃんにヘアメイクしてもらっている時にふと聞いてみた
「そういえば。由梨元気でやってんの?」
俺の言葉に反応して少しふんっと怒り出す楓ちゃん。
「最近忙しくて会えてないのよ〜。それもこれも嵐に呼ばれる所為よっ!!」
物凄い言いがかりだ。
「確かに最近楓ちゃん多いよね。あれ?専属なったんですか?」
ふざけてそう言うと、いやーよ。と言い出す
「私は誰にも縛られたくないの!例え男でも!」
後ろのソファに座っていた相葉くんがハハッと吹き出す
「だいたいね〜。嵐みたいに細い子タイプじゃないのよ。専属になるなら舐め回したいくらいにベッタベタに惚れられるくらいの男が良いのよね。」
楓ちゃんの卑猥発言に俺も吹き出すと、じっとしなさい!とお叱りを受けた
「もう私欲しかないじゃん。それ。」
俺の返しに、当たり前よ。と言い出す。
そんな話をしていたら翔くんが戻ってきて、お客さんだよー。と誰かを連れてきた
「おおっ!由梨ちゃんじゃん!久しぶ、「えっ!!なに??今由梨って言った?」」
相葉さんの声を遮るように楓ちゃんが反応し持っていたブラシを投げ捨て俺を見捨て由梨に突進した。
あっぶねー。
投げ捨てたブラシをギリギリでキャッチした俺。
そんなこと御構い無しにはしゃぐ楓ちゃん
「きゃー!なに?由梨じゃない!どうしたの?偶然ね!仕事順調みたいね。今日は誰についてきたの?」
早口で捲し立てられ苦笑いで返すのがチラッと鏡越しに見えた
「お久しぶりです楓さん。今日は雪乃さんのヘアメイクです。楓さん元気そうでなによりです。」
雪乃って…あぁ。雪乃空さんのことか。と1人納得する
「お互い忙しくてプライベートで会えないものね。今度絶対ランチしましょう。…あ、そうだ!ごめんね。ニノちゃん。」
今まで何をしていたのか思い出したようで急いで俺のところに戻ってきた楓ちゃん
それを見てフフッと笑っている由梨の声が聞こえた。