第1章 2人の距離
「流石に多いなー。…ちょっと探すか」
喫煙所はいくつかあって近いところだと人が溢れて居た。
フロントの人に1番遠い喫煙所を聞いて歩き出した。
その時に見えてしまった。
由梨の着ているドレスは横が薄っすら見えるタイプで、腰の痣の跡
凄く痛々しくて思わずゴクッと生唾を飲み込んだ
普段そこまでキレないほうだけど今少し自分の中に怒りが混みげてくるのが分かる。
でもそれをグッと奥にしまい込んだ。
きっと由梨はそれは望んでいない。
何と無くそう思った。
辿り着いた喫煙所は流石に少し離れているからか使用者は居なくて密室に2人きりだった。
タバコを掲げで今度は目で失礼しますと言って火をつけた。
由梨は以前の様に吐き出された煙をボーッと見ている。
何にも考えていない様な。そんな感じ
その姿がちょっと儚げで思わず由梨の脇腹をスッと摩るとビクッと反応した。
勢いよく手を引っ込めると、…見えてました?と伺う様に聞いてきたのでどうしたものかと、いや…。とちょっと考えてから話した
「フロントってさ。明るいじゃん?…だから、さ。」
会場では大丈夫だと言うと安心した顔を見せる
でもさ。
それ痛いよな。
酒の所為かな。
ちょっと泣きそうになった。
「…ねえ。いっこ。聞いても良い?」
聞いて良いのかわからなかったけど勘違いだったら失礼だしと思い聞いた
「それってさ。……彼氏?」
暫くフリーズする由梨
「……そ、う。です」
観念したかのようにそう言ってまた拳を握りしめていた。
由梨は気付いてないだろうけど痛い時とか辛い時に多分癖でやってしまうのだろう。
暫くは俺の煙草を吸う音しか聞こえなくて凄く静かだった
ジュッとタバコを潰して捨て壁に寄りかかりしゃがみながらあの時みたいに由梨の手を両手で包み込んだ。
そして拳を解くとゆっくり由梨を引っ張り隣に座らせた。
「これだったらさ。…見えないだろ?」
俺の言葉に周り見回す由梨
しゃがむと丁度足元が見えない作りになっていて完全に隠れている状態。