第1章 2人の距離
ん?
どういう事だ?
「その、抱きしめられた時もなんかこう。あれですね!コタツに入ってボーッとしちゃう様な!」
この子は何を言っているんだろう。
「とにかく!微睡んじゃうんですよ。此処最近。ニノさんが私の癒しになりつつあります」
中々可愛いこと言うじゃない。
それでも俺と似たような事を考えている事に思わずふふふふっ。と笑いがこみ上げてくる
「あー。…それは俺も同じだから。」
どうにか今の気持ちを伝えたくて見つめた
「…。俺こそ。ごめん。」
急に抱きしめた事、微妙な距離を作ってしまった事に謝るとぶんぶんと首を横に振る由梨
「なんかさ、拒否された時。1番仲良しだった子に俺は2番目に仲良しだったんだって言われた様な気分になってさ。」
フフッと笑いながら言った。
ちょっと。…微妙だよね。と言うと、ですね。と真顔で返すのでお互いにクスッと笑った。
その後は巻きに巻いて早めにオールアップした。
「いやー。巻いたねー」
スタッフに話しかけられ、ですなー。と喜んでいると、ほんっと。嬉しそうな顔するよなニノって。と同じく笑顔の相葉さんに言われた。
いや、あんたも顔緩んでるから。とは言わず軽く流す。
一週間後に完成記念パーティーという名のリッチな飲み会が開催された。
結構大きなプロジェクトだったからありっちゃありだけど多分このスタッフ達は飲み会が好きなんだと思う。
衣装さんから買い取っていたスーツを着て今日は仕事後だった為適当にヘアメイクさんに髪を弄ってもらい会場に向かうと楓ちゃんと由梨の後ろ姿が見えた
ああ。こう見るとどっちも女性なのに。
楓ちゃん詐欺だなと思いながら久々の由梨は元気にしていたのだろうか。とか考えながら近づくと如何わしい話を繰り広げていた
「えっ??楓さんまだついてるんですかっ?!」
おいおい。なんの話公共の場でしかもちょっと大きめな声で話してんだよと思い後ろから話しかける
「ちょっと。こんなとこで何の話してんのよ。」
お疲れ様です。と2人にしっかり挨拶されたので、お疲れ。と軽く返すと由梨はまた楓ちゃんに向き直り今度は何処まで処理したのか質問し出したから思わず笑いながら、やめなさいよ。とストップをかけた。
ほんと。なんの話してんのよ