第1章 2人の距離
「…。早めだけど。飯のとこ先行くか誘うつもりだったんだけど。時間になったらおいで。」
出来るだけ平常心でそう言って静かに扉を閉めた。
少し寂しく感じた自分がいる。
でもまだ出会ってそこそこな奴に抱きしめられたくないだろ普通。
と自分に言い聞かせ翔くんの所に戻っていった。
翔くんは既にビールを少し飲んでいて隣に座り俺もビールを頼んだ
「あれ?由梨ちゃんは?」
なんか疲れてるぽかったから休んでなさいって言っといた。と言うと、今日はアシじゃないもんなー。と納得していた。
それからはちょびちょび飲んでいると段々とスタッフも集まり出し皆んなで飲み始めると由梨も合流して夕食兼飲み会が開催された。
さっきの泣き腫らした顔とは違っていつもの由梨に戻っていてちょっとホッとした。
普通に話しかけたらいつも通りに返してくれてあ、これは大丈夫なんだなとそこにも安心した。
海外ロケ中はあれ以来空き時間などで部屋に行くことはしなかった。
また拒否られたらどうしようとかそんなことを考えてしまって
俺の中では由梨は結構仲良い部類でこれ以上関係を壊したくなかった。
海外ロケから帰ってきてもそれは変わらなくて皆んながいる時には至って普通に今まで通りに接することは出来たけど、2人でいると何処か遠慮というか。
少し距離が離れてしまったようなそんな寂しさがあった。
今回の撮影も今日でラスト。
由梨と会うことはもうないかもしれない。
結局。友達になりきれなかったみたいな。モヤモヤした気持ちが渦巻いていた
「ニノさん。…あ、あの。この前のロケの時。」
他のメンバーが出払っている時に急に由梨が意を決したように話しかけてきた
ん〜?といつも通りに返事をするとふふっ。とちょっと笑い声が聞こえた
「ありがとうございました。…あと。ごめんなさい。別に嫌な訳ではなかったんです」
あぁ。あの事か。と思いながらも嫌がられてない事に安心した。
まぁ。とりあえず座りなさいよ。とポンポンと座っていたソファを叩いた
素直に従い話を続ける由梨
「…なんか。ニノさんって勝手なんですけど癒しなんですよね」