第3章 女主人

「あっ、ん、ん…」

若い高ぶりは思ったより硬く、それが肉を掻き分けてゆっくりと奥へ進んでくる。抱き締めると、調度ノアールの口許が耳の近くに来て彼が荒い息をつく度にその吐息が耳を擽った。

「うあっ、すごっ、気持ちぃ…」

ノアールの片手が私の腰を押さえ付け、もう片方の手で私を抱く。うっとり気持ちいいと呟いたノアールに表情が緩んだ。ちゃんと気持ちいいと、彼が思ってくれているなら良かった。

焦れったいほどにゆっくりと進む彼のものは、暫くすると根本まできっちりと埋め込まれた。ノアールがふっふっと苦しそうに短い息をついている。

「ん、ノア…大丈夫？」

私は目を閉じて体を小刻みに震わせるノアールの髪を優しく撫でた。頬にかかる髪を耳へとかけてやりながら、彼の顔を覗き込む。
問いかけると、ノアールは長い睫毛を震わせて私を見下ろした。そんな彼に微笑んで見せる。

「は、はい、大丈夫です…それより、凄く…凄く気持ち良くて…ご主人様と、繋がれた事が、俺ッ…嬉し、です…」

ノアールは辛そうにしながらも笑い返してくれた。こんなに純粋な気持ちをぶつけてくれる交わりをしたことは有っただろうか。

今まで、後腐れの無い相手を選んできた。それ以上の感情を向けられる事は煩わしいと思っていた。
でもノアールは繋がることが嬉しいと、素直に伝えてくれる。その気持ちが嬉しいと思うのは彼が昔の彼に似ているから？

「んっ、それなら…良かった」

ノアールの言葉で私の心が暖かくなる。私は触れるだけの口付けをすると、額を触れ合わせた。間近で互いを見つめ合う。

「ノア…そのまま、私の体を支えていてね」

「…ご主人様？」

悪戯っぽく笑って、私は膝を立てると腰を揺らした。

「うっ…」

すると中のノアールが動いて、その刺激に彼が唸った。そして恥ずかしそうに目線を泳がせる彼に笑ってまた口付けた。

「ん…どう、気持ち良い？」

ゆっくりと交ぜるように腰を揺らす。するとノアールが可愛らしく喉を反らした。

「うあっ、ごっ、主人、さまッ…」

「ふふっ、可愛いノアール…んっ、もっと、鳴いて…」

私は下腹部に力を入れてノアールを絞めつける。そして腰を僅かに浮かせては体を落としてノアールを深くくわえ込む。腰を落とす度にノアールが可愛らしい声を上げるものだから、私は夢中になって腰を揺らしたのだった。