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ただ一つの心を君に捧げる

第3章 女主人


ゴクリとノアールの喉が鳴った。僅かに開いた口は閉じることを忘れてしまった様で、ノアールの瞳は零れんばかりに見開いて私を見詰めていた。

私は彼の手を取って私の頬へ触れさせた。そして笑いかけると、ノアールが思い出したように息を吸った。

「驚きました…本当に女神様みたいだ」

「女神様?そう言えば前もそんな事を言ってたわね」

女神様なんて、そんな良いものじゃ無い。私は誰よりも汚いの。でもそんな事を言ってノアールを怖がらせる必要は無い。ノアールはこのまま私に夢を見ていれば良い。
ノアールはそのままで…それに彼に慕って貰えることはくすぐったくて何だか昔の甘酸っぱい感情を思い出すから。

「触ってみて?私は女神様なんかじゃ無いわ…ほら」

頬に触れさせていた手を滑らせて、彼の手を私の胸へと触れさせた。ノアールは一度怖がるように手を引こうとしたのだけれど、思い止まってそっと私の胸の上に手を置いた。そしてゆっくりと力を込めた。

「凄い…柔らかい…」

ノアールは私の胸を食い入るように見詰めて、何度も押してはその弾力を確かめている様だった。私はノアールのしたいようにさせながら、彼のシャツへと手を伸ばした。ボタンを外し終えると彼の胸板に触れた。まだ成長段階の彼の体はみずみずしく、奴隷商の元で荷運びやらをしていた事も有るのだろう、引き締まった綺麗な体をしていた。

「ノアは女の人の体の事は知ってる?」

「えっと…」

シャツをノアールの肩から滑らせた。床へと落ちるのも構わず、互いに全裸になると私はノアールをベッドへと誘った。

「見たことは有ります。でも、その、詳しくは…」

恥じるように視線を反らして答えたノアールに頭を左右に振って見せた。私達はベッドに上がり込むと、互いに向かい合った。

「なら、私がノアに教えてあげるわ」

ノアの手を改めて胸へと触れさせた。

「ここは分かるわね?」

「はい、男の人が…吸ったり、舐めたりしてるのを見ました。そしたら、女の人が気持ち良さそうにしてて…」

「あら、ここは赤ちゃんが乳を飲む場所なのよ?」

「あっ…」

ノアールは小さく声を上げて真っ赤になってしまった。その反応がまた面白い。

「ふふっ、冗談よ」

「ご、ご主人様は、時々意地悪です」

「だって、困った顔をしたノアは可愛らしいんだもの」

私はノアールの頬に唇を押し当てた。
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