第3章 女主人
「ノア、ちゃんと私の言いつけは守ったかしら?」
抱き締めたノアールの呼吸が荒い。そして問いかけに必死に頷きを返してきた。
「はい、守りました…あれから、俺、自分で触ってません…触りたかったけど、ご主人様に、言われたから…」
どうやらノアールは自分で自分を慰めてはいけないと言う私の言葉を忠実に守ったらしい。その健気さに愛しさがわきあがる。
「本当かしら?」
「ほ、本当です!」
「でも、私は貴方の行動をずっと見張っていた訳じゃないもの。言いつけを破っていたとしても私には分からないわ」
私の言葉にノアールは慌てて頭を左右に振って、必死な表情を浮かべる。
「本当です!本当に、俺ッ…」
勿論、ノアールが約束を破っていない事なんて彼を見ていたら分かる。でも私に一生懸命訴えてくる姿が好ましくて、つい意地悪を言いたくなってしまったのだ。
「本当に本当?」
「はっ、ぃ…本当に、ほんと、ぅ、ですッ」
「そう、ならご褒美をあげないとね」
自身の胸を、褒美と聞いて目を輝かせた彼の胸板に押し付けながら彼の太腿を撫でた。途端に体を震わせるノアール。私は悪戯に、高ぶりには触れずに彼の太腿の付け根や下腹部を撫でて反応をうかがった。
ノアールは途端にトロリと欲望に目を潤ませて、もどかしいと赤い顔で訴えてくる。
「あうっ」
指先で高ぶりを軽く突いたら、大袈裟に腰を引かれた。私は笑みを浮かべて彼の耳へと囁く。
「動いちゃ駄目よ」
「で、でも、俺…っ」
そう言いながらもノアールは引いた腰を元へと戻した。今にも泣き出しそうに顔を歪める姿にゾクゾクした。だから、彼の高ぶりを強めに掴んで乱暴にズボンの上から扱いた。
「駄目っ、です…っ…ご主人様、だ、め…ッ…!」
既に彼のものは限界だったのだろう。二度程扱いただけで体を大きく震わせた。暫くしてジワリとズボンに染みが出来て、彼の高ぶりがズボンの中で弾けた事を知った。
「ご、ご主人様っ、だから、俺、駄目ですって…」
言ったのに、とノアールはスンと鼻を鳴らした。服を汚してしまった事が、余計に彼に羞恥を抱かせているに違いない。
「駄目なんかじゃ無いわ。ノアはとっても可愛いもの…可愛い私のノア」
ポロポロとノアールの瞳から零れる涙を舐めとりながら、涙を流すノアは何て可愛いのだろう、と私はほの暗い快感に浸っていた。