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ただ一つの心を君に捧げる

第3章 女主人


○ノアール○

あぁ、何であの時俺のものは役に立たなかったのだろう。俺は自己嫌悪にうちひしがれていた。

不能になった訳じゃ無い。だって、親方の元にいた時も夢精で服を汚すよりはと隠れて定期的に抜いていたし、現にさっき試しにご主人様とのキスを思い出して自慰してみたらきちんとイけた。しかも何時もより凄く気持ちが良かった。

なのに、何であの時の俺は…

「はぁ、ご主人様…俺に呆れちまったかな…」

俺はご主人様のお姿を思い出して、顔が熱くなるのを感じた。

奴隷市でお会いして以来のご主人様との久しぶりの再開。寝間着なのだろう、滑らかな手触りの白く薄いネグリジェ姿がとても美しかった。下ろされた金の豊かな髪が波打ち、首を傾げる度に肩からサラリと流れる姿は本当に女神様みたいだった。あんなに綺麗な人は俺が知る極上の奴隷の中にだっていない。
ご主人様は神々しくて、俺みたいな奴隷にも優しくしてくれて、そんな人に触れて笑いかけて貰える何て…

「はぁ…」

思い出したご主人様の手は少し冷たくて、白くて柔らかで、側にいると良い匂いがした。

「…あ、ヤバい」

俺は下腹部の違和感に視線を下げた。見ると俺の股間がズボンを押し上げていた。おいおい、さっき抜いたばっかりだろ、俺。どうしようかと迷ったけれど、俺はご主人様の笑顔を思い出してもう一度抜くことにした。
ズボンを下ろして下着から高ぶりを引っ張り出す。すると、昨夜はピクリと反応すら示さなかった高ぶりが二度目にも関わらず完全に勃起していた。

「勘弁してくれよ…」

俺は情けなさに溜め息をつきながらも、熱い肉棒を握りこんだ。

―――――ノア

優しく俺を呼ぶご主人様の声を思い出す。

「くっ…ふッ…」

数度扱くと、直ぐに俺の高ぶりはだらしなくよだれを垂らし始めた。その液体を手の平に塗り付けて、硬くなった自身に塗り込める。撫でるように、優しく塗っていく。
…俺を撫でるご主人様の手はとても優しかった。

「うっ」

ズクンと痺れるような興奮に、慌てて手を動かした。グチュグチュと音をたててご主人様の姿を求めて目を閉じる。

「うっ…はぁ、はッ…ご主人、さま、ぁ、あぁ!」


もう一度、ノアと呼ぶ声を思い出した途端に達していた。ドプドプと二度目なのに大量の精液が溢れ出る。
駄目だ、凄く…凄く気持ち良かった…
俺はまた自己嫌悪に陥ったのだった。
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