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ただ一つの心を君に捧げる

第3章 女主人


ノアールも自分の体の異変に気付いたのか、眉を潜めて下部を見下ろした。

「あ、れ?」

ノアールは慌てて自分の股間に触れて確認した。けれど、そこはやはり何の反応も示していない様だった。

「あの、俺、少し緊張してて…」

自分の股間が反応を見せない事に焦ると、彼はズボンの上から何度もそこを擦り始めた。

「あ、あれ?」

それでも彼の股間は何の反応も示さないらしくノアールは誤魔化すように笑って、大丈夫ですからと口にした。

「ふ、服の上からだからきっと駄目なんです。直接触れば…大丈夫、ですから」

ノアールはズボンのホックを外してジッパーを降ろすと、不安に震える手で下着の下から自身の股間を引っ張り出した。それを強引に擦りしごく。

「っ、く…お、おかしいな…こんなはず、無いのに…どうしたんだよ…」

ノアールの焦りが強くなる。顔は血の気が引いて青くなり、体は私の期待に応えられない不安と恐怖に震えていた。
ノアールは握り締めた自身をがむしゃらにしごいて、何とか勃起させようと必死だった。

「何でっ…何で勃たないん、だよ…くそっ、何でっ、勃てよ、勃てったら!」

ノアールの股間は無理矢理擦られて赤くなっていた。それでも今にも泣き出しそうな顔で私の期待に応えようとしていた。

「くそっ、くそっ…なん、で…」

ノアールの顔は真っ青になり、ガクガクと震えていた。目にみるみる涙が溜まってくる。私はそんな彼を優しく抱き締めた。

「ノア、大丈夫よ」

「お、俺っ、こんなんじゃ無いんです、こんなはずじゃ…」

ノアールはポロポロと涙を溢して必死に違うんです、違うんですと弁解を口にする。私はそんな彼の頭を撫でて囁いた。

「ええ、分かっているわ。きっと緊張しているのよ」

「ごめんなさい、ごめんなさいご主人様、おれ、俺…」

しがみついてくるノアールの背中を優しく撫でた。

「大丈夫、焦ることは無いわ…そうだ!今日はここで一緒に寝ましょう」

「一緒に、寝る?」

「そう、二人でただ抱き合って眠るのよ」

そう言って私はノアールを抱いたままベッドに倒れこんだ。

「こうやって眠るだけでも十分気持ちがいいでしょう?」

ね、と同意を求めるとノアールは涙を拭い恥ずかしがりながら頷いた。その後、私はベッドでノアと色んな話をした。

そうして最初の夜はただ抱き合って眠ったのだった。
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