第4章 【山崎宗介】Emerald green
その思いが、私達の声が、彼に届いたんだと思った。
水面に飛び出して来た両腕が大きく水を掻き、水の上を跳ねるように前へ前へと進んでいく宗介の姿を目にした時。
私は泣いていた。
宗介が戻って来るのを今か今かと待ち構えている凛が、嬉しそうに笑っているのが見える。
そして、泳ぎきった宗介が叫ぶように凛の名前を呼ぶのが聞こえた。
小学五年生の、あの時のリレー以来の光景だった。
そこからは本当に、凛と七瀬くんの一騎打ちと言えた。
他校なんて寄せ付けないスピードで、堂々の一位二位。
だけど私は、岩鳶の勝利を喜べばいいのか、鮫柄の敗北を嘆けばいいのか、正直なところわからなかった。
それでも、今までに応援してきた試合の中で一番いい試合だったってことだけは確かだった。
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