第2章 無垢な少女
『テウもうやめなよ』
「そうだぜ。疲れるしー」
「…ちっ。わかったよ」
メルの頼みに弱いテウは渋々攻撃をやめ、先ほどの位置に座り直す。
もちろんヘンデも弱い。
やれやれとメルに苦笑いを向け、ヘンデもメルの隣に座る。(ヘンデ、メル、テウの順)
『ヘンデの用事って何?』
「テウに聞いてないの?」
「俺だって聞いてねぇよ」
「隣のおばさんに頼まれて、棚の修理してた。訓練の出掛けの時に会ったんだ。困ってたからなおそうか?って聞いたら、訓練終わってからで良いって言うからさ。パパっとなおしてきたんだよ」
「へぇー」
『凄いね。ヘンデ』
「俺だけじゃなくて、テウもできるだろ?」
『そうなの?』
「まぁな。風の部族の男はみんなできるぜ。ちびっ子達はまだ練習中だけど」
少し誇らしげに笑う2人に、メルも嬉しそうに笑う。
なんでもできる幼馴染2人は自慢だ。
『私もできるよ。2人に教わったから。でも、修理とかより薬草のほうが詳しくなっちゃったけど』
「お前はそれで良いんだよ。戦うのは俺とヘンデ、癒すのはメルだ。な、ヘンデ」
「そうそう。ヘンデにお任せってね~。一緒に頑張ろうぜ」
『…っ!……うん!』
昔、3人はある約束をした。
それは今でもつながっている。
(……頑張ろう)
幼馴染だけじゃない。
風の部族のみんなも…。
これから出逢う人達も…。
私は私にできることを…。