第2章 無垢な少女
「日にちがずれてれば良いけど、同じ日なんだから仕方ないって。毎年同じ事言わせるなよ…メル」
『……うん』
「(それでも、毎年こいつは同じ事を期待する…。ハク様大好きだからなぁ)」
横目で見ればメルは手当てを終えて、テウの右手を握っていた。
「(……ちっさい手……)」
なんとなくその手を握り返せば、テウは目を細め空いてる左手をメルの頭にポンポンと乗せる。
『テウ……?』
「帰るのは無理でも、贈り物は毎年ちゃんとくれるだろ。俺達だっているんだから、しっかりしろ」
『!うん!そうだね!ありがとう、テウ』
「…おう」
満面の笑顔。
なぜか照れてしまい、テウが小さく返事をすると、テウの背後で動く影が…。
「そこは、俺が、だろ。ヘタレのテ・ウ・く・ん」
「っ…ヘンデ!」
『ヘンデ』
「にしし」
突然の登場に吃驚する二人だが、すぐさまテウが赤くなりヘンデに攻撃を何度も仕掛けるも全部避けられた。
『こんにちは、ヘンデ』
「よ!」
『テウに、ヘンデは用事があるから家にいるって聞いたよ。用事はいいの?』
「もう終わったよー。それより、何かしんみりしてたけどどしたの?」
『私の誕生日と、ハク様の話』
「あ~…それか」
この会話の間もヘンデはテウの攻撃を避け続けてる。
慣れてるメルは会話をしていたが、いい加減普通に会話したいのでテウを止める。