第2章 無垢な少女
『それでは、いただきます』
「「「「いただきます」」」」
メルの声で全員手を合わせ食事を始めた。
美味しそうに食べてくれる姿に、嬉しくなる。
「メル姉ちゃん、これ美味しい!」
『ほんと!?それ自信作なの。ありがとう!』
「この煮物も旨いぞ」
『ムンドク様、この間少し味が濃かったって言ってたので、薄めにしたんです。どうですか?』
「うむ。ちょうどいいぞ」
『良かった~』
メルは笑顔でテヨンとムンドクに、どこを工夫した、味はどうかなど、とても嬉しそうに話をしている。
それを毎日見ている2人は、話を聞きながら食事をしていた。
「へぇ~、前の味も好きだけど、俺もこっちの味が好きだな。な、テウ」
「俺はこっちがいい。前のは…濃すぎだ。美味しかったけど」
「素直じゃないな~」
にしし…、と笑うヘンデ。
2人の目には、口にご飯粒をつけたテヨンに『…あ、テヨンったら口にご飯粒ついてるよ』と手で取って、そのまま食べるメル。
「「……あ……」」
『ほら、取れた』
「えへへ…。ありがとう、メル姉ちゃん」
『どういたしまして。はい、お茶飲む?』
「うん、飲む」
姉弟のようなやりとりに、思わず箸が止まる。
「「((……なんだろう。微笑ましい。微笑ましいんだが…………))」」
微妙な気持ちが浮かんだ。
メルとテヨンを微笑ましいと見ていたムンドクが、テウとヘンデを見て首を傾げた。