第4章 貫く者と逃げる者
場所は、合戦の場。
わずか400騎の兵で
2000騎の兵に千長はいどんだ。
敵方の軍力に既にそこまで差をつけられていた。
家来がどんどん、討たれて はてていくなか
敵方の大将を千長は見つけた。
千長は一騎討ちを挑み、みごと
大将をうった。
千長の身体には既に幾多もの
矢がささっていた。
千長が喜んだのも、束の間
大将と思っていな輩は
顔をみると なんと影武者であった。
周りを見ると味方はもう 10名ほどしかおらず
千長は皆で切腹をすることにした。
武士の情けか、千長たちが切腹する間
敵方の兵たちは千長たちに一切てだしをしなかった。
上皇の命令を守って散った千長は
今の時代もサラリーマンの鑑として語りつがれていた。
その頃
千長の城の風呂場で呑気な声がひびく。
「もうでていって、い~んかなぁ。」
自らの大将が、戦場ではてる時
直三は城の中の空の風呂の中にかくれ、うえに被せておいた風呂の蓋を頭で押しあげながら
キョラキョロ周りをかくにんした。
城にもう、見張りの数人の兵しか
いない事をかくにんし、
軍の一団がじぶんをおいて 戦場にいったことに
改めてホッとしていた。
「死に戦なんて、まっぴらや~」
直三は、千長の城に支える武士であった。
にもかかわらず、今日の合戦には参加しなかった。
また、城から逃げる勇気もなく
いざ出陣という時に風呂場にいき風呂の中に蓋まで
閉めてかくれた。
逃げて得をしたと思った直三であったが、
すぐにこの行いを後悔する
誰にも見つからないルートで城をぬけだし、
直三は農家をしている実家に帰った。
「母ちゃん~‼戻ったで~」
直三は勢いよく、引き戸をあけた。