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虹に向かって

第11章 本当の目覚め



せん太が両親に引きとられていき、
直三はせん太の居ない所でもせん太を守ることを決めた。


千長様の息子の高行様の戦に
兵士として参加するのだ。


高行、つまり上皇側は勢力がおとろえており
負け戦ということは確実であった。


せん太の村も危険にさらされるかもしれないことを
知りながら直三は何もしないでいられなかった。


「前の戦にでてた者だけ参加しようとしてるのに、なんで直三はわざわざ死ににいくんだよ。」


高行は無駄死には不要と、無理に兵を集めようと
しなかった。まともになった直三が今さら命を捨てることを直三の母親は不憫に思っていた。





直三の武器は刀ではなく、普段使うクワだった。
刀なんて高価な物がなく母親に包丁をすすめられたが

ひとつしかない包丁を持ちだすより、直三はクワを選んだ。


合戦の日はすぐに来た。直三を含む高行一行は
合戦場の手前に神社に参ることにした。

「神様、俺は多分死ぬが 死んだ後
母さんや 必ずしん太をまもってください。」


気づけば、ボロボロと頬に涙が落ちていた。

なんとなく、しん太も母親もずっと無事であると
思えた。


しん太にとって誇れる男になれただろうか。 



村の為に命をささげる自分は自分自身で
誇らしく思えるのは確かだった。



泣くのは怖いからでもある。

だかそれよりも
生きる道であり逃げなかった自分を誉める涙であった。













 

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