第7章 変化と覚悟
しん太が直三の家に来てから、一年後…。
直三は驚く程、真面目な人間になっていた。
直三が畑仕事を再開しだした時
やはり、村人は好奇の目で直三をジロジロみた。
それでも、直三は以前のように家に引きこもる
ことはなかった。
自分より、弱い存在のしん太を守る為と
思うと直三には不思議な位力がわいてきた。
守る存在の為に働いていると
直三をみる為にあつまっている村人が
直三には酷く暇で愚かに見えるようになった。
村人も一心不乱に働く直三や、直三になつくしん太を見て直三が心を入れかえたのは本当だとおもった。
人一人、たちなおったという素晴らしいことを
目撃した村人たちであったが、
直三が直三らしく、ビクビクしたり
物事を投げ出さないことは
村人たちにとって酷くつまらないことであった。
つまらない物をワザワザ見たい者なんておらず、
ある日ふと畑仕事中に、
直三が例の道をみたところ
村人は誰もいなかった。
そのまえに直三は、もう人の目など気にならなかった。しん太を幸せにしたい。
しん太の両親がしん太を迎えにきたら、すぐにでも
引き渡すつもりではあったが、
直三にとって、守る物ができた事は
大きく 初めて自分以外の為に命をつかったのだった。