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虹に向かって

第6章 初めての責任




直三の母親が市場から帰ってきた。

持ち帰ってきた袋になにも目ぼしい物はなく、
直三はがっかりしていた。



帰ってきてすぐに、
母親の小言が始まる。 


 
 母親は気がつよく、誰が畑にこようと きに介してなかった。   


ただ、昔から付き合っている
近所の人とは母親から距離をおいていた。


息子の直三が働いていない
話しをしたくなかったからだ。



母親は近所に恥ずかしいといいつつも、
感情がたかぶったか



 だんだん近所にもきこえそうな大きい声で 
怒りだした。 



その時、


「ガタガタ」


裏戸の方から音がした。




外の音に敏感になっていた直三は
男の癖に母親に裏戸をあけさせた。



すると、
そこには3才~5才くらいの


可愛いめのくりくりとした男の子がこっちをみて
たっていた。

何故か
男の子の着物は汚れていて顔も真っ黒に汚れていた。
何日も身体を洗っていないようだ。


足には擦り傷が沢山あり
頬はこけていた。



小さいながら、その子が
大変な目にあってきた事が
直三と直三の母親には、わかった。

 


空腹のその子は、

直三の母親が昼食の準備にかかって
いたため 匂いにつられ裏戸の前にたっていたようだ。



指を加え、母親がよそっている
ご飯わじっとみている。



沈黙を破るように直三の母親が
その子に声をかけた。



「アンタも食べる?」



 「うん‼」勢いよく頷き、

その子は
母親がもっていた茶碗をそのまま、手づかみで
ご飯を食べだした。



よほどお腹が空いていたようだった。


「プッ…」

食べっぷりが、良すぎて
直三と直三の母親が笑いだした。



さっきまで母親と直三だけで険悪な空気だったのが、
その子の登場で嘘のように和んだ。



お腹がいっぱいになり、
安心したのか その子は初めてきた直三の家で


スヤスヤと寝息をたてて、



眠りだした。





直三の母親が、ゆっくり話しだした。

「森の向こうの千長さまの領地の村が
 昨日敵軍にやられたそうや。」

直三がびっくりして、寝ていたに起き上がる。

















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