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虹に向かって

第5章 本当の地獄


「母ちゃんは、ワシが死んでたらよかったんか‼」



直三は母親におおきな声で
捨てゼリフを吐き、

 ばたん、とわざと引き戸を閉めて家を飛び出した。
畑の前に集まっていた輩にジロジロみられる。


武士をやっていた自分な畑仕事なんて
できるか…‼  



…自分から武士を手放したはずの
直三は心の中で毒気づいた。



 

戦場に行かず
逃げて帰って来た日から母親と
毎日いいあいをしている。



家でボーッとしていると、母親に
畑仕事を手伝うよう言われた。



何の気なしに畑に行くと、気のせいか
ずっと人の視線を感じる。


…ん?



キョロキョロするも誰もいない。


直三の視界には、だだっ広い自分の家の畑がひろがるだけだった。

…。




やっぱり、誰かワシを見ているぞ。


作業に飽きたついでに 
今度は自分の後ろまで首を回して視線をさがした。




直三の後ろには村人が一人とおれる位の
細い道がある。

普段は直三の家の誰かしかとおることのないような道だ





自分が気づかなかっただけで、その道に
普段くることのない 村の人間がわざわざ


直三を見にきていた。




若い美しい女性もいた。その美しい女性と
目があったが美しい顔から想像もつかない

酷くバカにする表情で直三をみつめ返してきた。




母ちゃんがいってたのはこれか…。

…。



「直三、おまえ逃げて帰ってきて近所になんて ゆうんや‼」



直三は間髪入れずいい返す


「母ちゃんは、ワシの命より 近所の目が大事なんか‼」

直三の母親は傷ついたような顔をみせた。



「あんた、命をたてに親にそんなんゆうて卑怯や」


逃げて来たばつの悪さを感じていた
ため、八つ当たりとばかりに母親にもっと
酷いことをいい返したりもした。


母ちゃんとの言い合いなんてかわいいもん
だったな…。


直三は本当の地獄経験していく。



知らない村人たちにジロジロみられている視線に

直三は恐怖を覚えるようになった。





びくびくしているのが、面白いようで
だんだん直三を見に来る村人の数がふえてきた。



とうとう…直三は畑にでれなくなって
しまった。



先程
母親にたんかをきっとて、家をでた直三だったが
家の外で待ち受けていたのは

直三の嫌いな視線たちだった。
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