第5章 崩壊
Oside
「許さない。」
「え…?」
「謝ったって、許さないよ。
…ここ一週間、ずっとニノのこと考えてた。
お前のことしか考えられなかった。
…俺は、あの時ニノは俺のもんにしたって信じてる。
……本当に別れたいなら、こっち向けよ。」
微動だにしないニノ。
黙ったまま、また静寂に包まれる部屋。
「向けよ!」
耐えきれなくなった俺は、掴んでいたニノの腕を思いっきり引っ張った。
その瞬間、勢いよく俺の手を振り払ったニノはそのまま振り返った、…瞳いっぱいに涙をためて。
「勝手に信じられても、困るんです!!!!
俺は…っ!!!」
「すき。」
ニノの言葉なんか無視して、そのままその唇をふさいだ。
細っこい腰を掴んで、引き寄せて、もう片方の手でポロポロと涙が伝う頬を包み込んだ。
一瞬固まったニノが、思いっきり俺の肩を押して離れた。
「…ニノ。」
「来ないで!」
…見たこともない顔で、睨みつけるニノ。
ものすごい気迫で、自らの体を抱きしめる。
…それでも俺は、信じてる。
なかったことになんか、できない。