第5章 崩壊
Nside
「おじゃましまーす…」
玄関で靴を揃える翔ちゃんの背中をボーッと見つめる。
俺…なんで入れてんだろ。
…でも、わざわざ話があるってウチまで連絡もせずに来たことなんてないから。
なにか、すごく大切な話…なんだろうな。
だったらなおさら今はそんな話、聞ける状態じゃない。
でも…
誰とも話したくないのに、
…ひとりが、たまらなく寂しかったんだって、翔ちゃんが来て気付いた。
「ごめんね?急に…
でもよかった、ニノが家にいて。」
「いや…はい。
ごめんね、うち今ほんとに何にもなくて…」
何もかもやる気になれなくて、お酒どころかお茶さえない。
申し訳ないけど、水しか出せない。
翔ちゃんと向かい合わせに座る。
あー…今俺、絶対目赤いな…
でも翔ちゃんは、やたらと土足で入ってくるような人じゃないから。
きっと気付かないでいてくれるよね…
「……それで、翔ちゃん、話って…
………あの、翔ちゃん。」
「ん?」
「…近くない?」
突然立ち上がったと思ったら、なぜか隣に座った翔ちゃん。
え?なんで??
「そう?
ニノと智くん、いつももっと近いじゃん笑」