第1章 始まり
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いつものポーカーフェイスが崩れて明らかに動揺しているニノ。
…ごめん。でも、どうしても急がなきゃいけなかった。
何年も何年も蓋をしてきたこの想い。告げれば迷惑だって、わかってた。
だっていつもニノの視線の先にいたのは俺じゃなかったから。
ゲームしてる時。
ご飯を食べている時。
雑談している時。
打ち合わせしている時。
撮影している時。
…どんな時も、ニノが見つめる先には大野さんがいた。
どんな時も、ニノを見ていたからこそわかってた。
…2人が抱えてる気持ちは同じだって。
そして、2人の距離がジワジワと近づいてきていることも。
その理由も明らかだった。
…最近、スッパ抜かれた大野さん。大野さんは、本気じゃないって俺には分かってた。
だって大野さんはずっと前からニノが好きなんだから。
でもニノはそんなこと分かるはずもない。案外寂しがりやのニノ。
大野さんを盗られた
そんな意識が本人も気付かないくらい、胸の奥底にあっただろう。
普段よりも過剰なスキンシップは、ミリ単位で2人のキョリを近付ける。
そしてニノ自身にも降りかかったスキャンダル。
大野さんも、いつも以上にニノに意識がいってるのはバレバレで。
…そんな些細なキッカケ。
だけど何年も降り積もらせた想いが動き出すには十分すぎた。
微妙なバランスが、グラグラと音を立てて崩れ落ちる前に。
俺がそんなもん、ぶち壊してやる。
大野さんにニノは渡さない。