第5章 崩壊
Mside
かず…?
ゆっくり、ゆっくりと意識が浮上してくる中、
和の泣き声が聞こえた気がした。
もっと眠っていたかったけれど…何より、大切だから。重たくて仕方なかったまぶたが自然と持ち上がっていく。
ジッと覗き込む顔。
視界がぼやけてよく見えない。
「……ず…」
「潤っ!?」
あ、れ?
ちがう
やっぱり、かすかに聞こえてくるのに、
今目の前から発せられた音は、
かずのこえじゃない
「潤っ…本当に、よかった……!!
今、ナースコール呼んだからな!」
「しょう、くん…かず…」
「えっ!?
あっ…ちょっと待ってて!!」
やっとピントがあってきた世界で、翔くんの背中が遠ざかっていって、ガラガラとドアが閉まる音がした
その一瞬、はっきりと聞こえた声。
「かず…なくなよ…」
走馬灯のように、あの一瞬が頭の中を駆け巡る。
真っ白なライトと、歩道に乗り上げて突っ込んでくるその瞬間だけが、鮮やかに、スローモーションで流れる。
「潤くんっ!!!!!」
飛び込んできた和を受け止めきれず、2人でベットに倒れこむ。あとからあとから溢れだしてきて、どんどん吸い込んで肩に広がっていくシミ。
「ごめん…」
大丈夫…
絶対に和から離れたりなんか、しないよ