第4章 狂いだす
やばい
慌てて目をゴシゴシとこすった。
ニノの顔を覗きこむ。
…よかった。
一瞬ピクリと揺れてドキリとした。
その瞼は閉じられたままでホッとする。
そっと手の甲でニノの頬を濡らすそれをぬぐった。
スベスベのほっぺたはやっぱり柔らかくて気持ちいい
…もうこうして触れることもできないんだ
そう思うと、走馬灯のようにニノとの思い出が駆け巡った
俺の横に座るあどけないニノ
俺の後をくっついてまわる少し大人びたニノ
俺の尻を揉むいたずらっ子みたいなニノ
俺の手をギュッと握ったニノ
…ふざけてチューをしてきたニノ
本当にお前は見た目も、中身も。
全然変わらなかったね
この関係もずっとずっと変わらないと思ってたし、それを信じて疑ったことなんて一度もなかった
それが当たり前だったから
だけど…
ねえ。
これで最後にするから。
もう一度だけ
お前に触れたい