第4章 狂いだす
Oside
楽屋に二人っきり。
…気まずい
本当はこの後5人でロケだった。
しやがれで運動会企画だとかで、結構大がかりなやつ。
撮影も長引くから今日はこの後はそれしかなかった。それがもう土砂降りでロケどころじゃない。
5人揃って急に半休になってしまった。
こんなこと、滅多にないんだけどな…
おかげで、俺たちはマネージャーが迎えに来てくれるまでここで待機だ。
すぐ横にニノはいるのに、何となく話しかけられない。ニノも黙ったまんまで…
…まだまだマネージャーは来ねぇみたいだし。
思いきって、話しかけてみようか
そう思って、ニノの様子を伺おうと横を見ようとした
「………っ!」
…が、俺は少し横を向いたまま1ミリも動けなくなってしまった。
「ん……」
ちか、い
少しセットの崩れた髪が、サラリと俺の頬を掠めた。
俺の肩に、ゆっくりと着地した刺激で漏れる声。
急激に重くなる肩。
ねてる……
柔らかそうなほっぺたが俺の肩に押し付けられて、少しだけムニュッとなってる。
だらりと脱力した腕は、俺の膝の上に居座ってた。
密着する、俺の右半分とニノの左半分
…触れ合ってるそこだけ、体温が3度くらい上がった気がした。