第4章 狂いだす
Oside
当たり前だけどニノはいつも通りで。
仕事だから俺もいつも通りにくっついて撮影して、取材にもこたえたけど心ん中はずっとモヤモヤしたまんまだった。
ようやく長かった撮影が終わり、楽屋に戻れば丁度ニノの携帯が震えていた。
「…もしもし。…うん、大丈夫。今終わったとこだけど。」
口調や相槌から察するに、マネージャーかららしい。何となく気になって、俺も水を飲みながらこっそり聞いていた。
「え…?雨??」
すると、突然ニノが立ち上がった。そのまま窓際まで歩いていくと、少しだけカーテンを開けて外を覗き込んでいる。
…あ、ほんとだ。
全然気づかなかった…朝は降ってなかったのに。
降ってきては窓に体当たりして弾ける雫をそのままボンヤリと眺めていると、突然後ろから聞こえてきたため息にハッと我にかえった。
「…ハァー…そっか、うん。わかった。…いやいや、しょうがないよ。じゃあ……
え?……あ、いますけど…」
チラチラ見てたら、ニノが急に振り返った。思いっきりぶつかった視線。
てか…え?なに?俺の話??
そのまま、うん、とか了解、とか言ってニノの電話は終わった。
くるっとニノが振り返る。
「大野さん、今日、俺たちこの後はオフになりました。」