第4章 狂いだす
Oside
「はよーございます…」
「おはよ…」
眠たそうな声と共に開いたドア
大して見てもいなかった雑誌なのに、そこから顔を上げられない
…どうしてもついこないだのあの風景が、松潤の声が頭をよぎってしまった。
ポスッとソファの片側がへこんで、少しだけ体が傾く。
…ちょっと昔ならそのまま俺にもたれかかってたのに
前は当然のようにあった温もりがないのが、寂しい
…けど、それもちょっと慣れてきてしまっているのが虚しかった
カチャカチャと目線の端にうつるクリームパンみたいな手が、もう何年使ってんだっていう年季の入ったバックからゲーム機を取り出す。
…それを確認してから、チラッと見上げた横顔は画面の中を集中して見つめてる。
…目、赤いな
昨日、泣いたんだろうか
…松潤が泣かせたのかな
なんて考えてしまって、またあの虚無感に襲われる
…すきなら、泣かせんな
そう思ってしまう。
ニノが松潤のために、誰か他のやつのために泣いたんだと思うと、心ん中に黒いモヤモヤがじわじわと広がった。
…別にニノは俺のもんじゃないのに。
そんなこと思う権利は、…俺にはない。