第3章 交錯
Nside
何だかゲームする気にもなれなくって、早々に家を出た。今日は翔ちゃんと雑誌連載の撮影だ。
…大野さんとも潤くんとも会わなくてすむ。
ホッとしてる自分にまた嫌気がさした。
別に潤くんにも大野さんにも何されたってわけでもないのに。
まだ大分時間がある。少しでも眠っておこうかとソファに横になったとき、
「おはよー……って、あれ…?」
ちょうど入ってきた翔ちゃん。…今は何だかあんまり人と話したくない。
翔ちゃんには悪いけど、そのまま寝たふりを続けた。
「……寝てるの?」
サラリと髪を梳かれる感覚。
近くに感じる翔ちゃんの気配。
…バレてるかな。
もう起きてしまおうかと思ったとき、翔ちゃんの手が俺の頬を撫でた。
「…ちゃんと寝なきゃ、体調崩すぞ。」
そのままスルスルと上がってきた手は俺の目の下…多分黒くなっているだろうそこを撫でて、どこかにいってしまった。
……今の絶対、起きてるのバレてた。
それでもあくまで「寝てる俺」に話しかけてくれた翔ちゃんの優しさがくすぐったくて。
…今の俺にはあまりにもソレが染みてしまったから、そのまま狸寝入りを続けるしかなくて。
そしたらいつの間にか本当に眠ってて、起こしてくれた翔ちゃんの顔を恥ずかしくってまともに見れなかった。