第1章 始まり
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「なぁニノ、この後空いてる?」
大野さんとじゃれ合いながら衣装をダラダラと脱いでいたニノに、声をかける。
ニノはキャッキャッとはしゃぎながらくすぐり合っていた手を止めて、不思議そうに顔を上げた。
「へ?この後…?今日はもう上がりだけど…」
よし。まずは第1関門クリア。
「じゃあ、この後一緒に飲まね?
…俺ん家で宅飲み。」
先ほど一大決心をした俺には、何でもないようで何でもなくない飲みの誘い。
一瞬キョトンとしたニノが言葉を発すまでの一瞬が、やたらと長く感じた。
「うん…いいけど……潤くんとサシ飲みなんて、ひっさしぶりだね〜笑
言っとくけど俺、針が真上になる頃には帰りますからね??笑」
フンワリと微笑んだニノが、冗談めかして笑った。
わかったよ!、なんて、俺も笑って返したけど、内心は断られなかったことにホッとしていて、ガッツポーズをしたいくらいだ。
テレビではあんなに家から出ない出ないと言っているニノだけど、本人の意思とは裏腹に引っ張りだこのニノ。
実際、ニノと飲むことはライブや打ち上げ以外ではあまりないのだけど、俺の周りからはしょっちゅう「この間ニノと飲んで…」なんて話が聞こえてくる。
ニノの準備を待ちながら、ドクドクといつもの倍速で俺の心臓は脈打っていた。