第3章 交錯
Mside
「潤くん、今日この後ってまだ仕事?」
次のライブに向けての打ち合わせの後、背中からかけられた少し高めの声。
ドキリとしてペットボトルの水を飲んでた俺はむせかけた。
「んん…っ!」
「わっ!ちょ、大丈夫!?」
慌てたニノが「ごめんね、驚いた?」なんて言いながら慌てて背中をさすってくれるもんだから、ますます上手く飲み込めない。
…そんなに心配そうに顔を覗き込まないでほしい。
いつもなら赤面しちゃいそうな潤んだ瞳も、今は心の中まで見透かされてる気がして、別の意味でドキドキしてしまう。
「いや……まだ、雑誌の取材が入ってるかな。」
ウソ。本当はもう上がり。…けど、大事な用事がある。
ただ、ニノも今日はこれで上がりのはず。
…ということは、この質問の先は必然。
「そっか…遅くまで人気者は大変だね〜笑」
「…何で聞いたの?」
ねぇニノ、もしも俺の仕事がなかったら何だったの?
その先を聞かなきゃ帰れない。…逃さないよ?
「何でって…何にもないですよ?普通に、もう上がりかな〜…っていう、単なるニノちゃんの好奇心ですよ笑」
畳み掛けても涼しい顔して俺が飲んでた水のキャップを閉めてるニノ。
その華奢な肩を掴んで引き寄せた。