第3章 交錯
Aside
暗い顔して俯く頭を優しく撫でてあげる。
こうされるの、好きでしょ?
ねえ、何でも話してよ。
ニノのことなら、俺は何だって受け入れられるんだから。
俺は誰よりもお前の理解者でありたいし、実際そうだと思ってる。それが唯一俺の自信。
だけど無理に聞いたりしない。
そうすればするほどお前には逆効果だって知ってるから。
ただただ、黙って心を開いてくれるのを待ってる。
それが一番の近道でしょ?
そうしてただ隣り合わせで座って、時計の音だけが鳴り響く。
いつもの定位置に座ったお前が口を噤んでからどれくらいたっただろう。
一瞬だった気もするし何分何時間にも感じられた。
「……ねぇ、相葉さん。
…俺ね、潤くんと付き合ってんの。」
…一瞬、息ができなかった。
「ふふ………気持ち悪い?」
「……バカ。んなわけねぇだろ…」
そう言うのが、精一杯だった。
「んふふ…っ
知ってる。相葉さんは、そう言うと思ったよ。」
すぐ隣から聞こえる独特の笑い声。
大好きなその声も今はただ通り抜けた。
ニノと知り合ってから二十数年。
初めて、この声から逃げ出したくなった。