第2章 甘くて苦い
Mside
「じゃあニノ、俺ちょっとシャワー浴びてくるから。ゆっくりしてて?」
「はーい。ごゆっくり〜…」
あまり酒に強くないニノは早々にラグに寝そべって、既に世界を救いにいってしまってる。
本当ならちょっと寂しくなっちゃうのかもしれないけど、少し唇を尖らせて画面に夢中な姿さえも可愛くて仕方ない。
……ホント俺、ニノにぞっこんだな…
シャワーを浴びながらもまたニノのことを考えてる自分に笑ってしまう。
脳裏に浮かぶのは付き合いだしてから見えた、今まで以上に可愛いニノの姿。ジワジワと幸せがこみ上げてきて頬が自然と緩んでしまう。
…さぁ、早く上がろう。
せっかくニノと一緒にいるんだ。1秒でも長く一緒にいたい。
髪も適当にワシャワシャと拭きながらタオル片手に急いでリビングへと戻る。
さっきと何も変わらず、静かなそこにはニノが旅立った世界から漏れ出る音が微かに聞こえる。
「ニノー?上がった…よ…………」
薄っすら口をあけてスヤスヤと眠るニノ。
ソファの向こう側には、さっきと寸分違わぬ場所で眠るニノがいた。
柔らかそうなホッペはお酒のせいかほんのりと赤く、手には愛用のゲーム機を握りしめたまま。
「…………かわいい。」
かわいすぎる。
幼い顔も相まって総合的にまるで小さい子供のようだ。
…いや、別に俺はロリコンじゃない。
…ただ、ゆるゆるのVネックから覗く鎖骨が眩しくて、そのギャップにまたしても身悶えさせられる。
「……あんまし無防備だと、知らねぇかんな…」