第1章 入寮のススメ!(プロローグ)
「あ、生徒さんたち帰ってきたのかな?」
「においをかぎつけてきた!」
と山崎さんはすでに自分の分を確保しながら言う。
「二人も自分の分は確保しておいたほうがいいよ!戦場だからマジで」
「たしかに…。賢いですね、山崎さん」
やっぱり男性ばかりのところは家族じゃなくても食卓は戦場なのね。
「宮部さんは自分の分確保しにくいと思うので、僕が二人前とっておきますので、あとで食べてくださいね」
…新八くんって年下とは思えないほど気を使える子だな。すげえモテそう。
そんなことを思っていると、ガーーーーン!とものすごい音がして扉が宙を舞った。
え?
え?
え?
呆然と宙に待った扉を見ていると、同時に後ろで二人がため息をついた。
「今日はカレーだね☆」
赤い髪の少年が釘バット片手に部屋に入ってきた。
強盗ーーーー!!!!?
「そうですよ。何度言ったら設備を壊さないでくださいって言うのがわかるんですか?いい加減に追い出されますよ」
新八くんはご飯を盛りながら普通に叱っている。
私はプルプル震えながらその様子を見ていることしかできない。
「ごっめーん☆またやっちゃった☆☆テヘペロ
ところでこの子だれ?」
「あ、わ、わたし…」
顔を近づけて見下ろされると、恐ろしすぎて声が出なくなった。
「あんまり怖がらせないでくださいよ。今日から身の回りのことをやってくれる寮母の宮部さんですよ」
「へえ。そうなんだー。
君いくつ?握力は?」
握力?握力?
笑顔なのに、なんでこんなに迫力があるのだろう。
すぐ近くでカレーを立ったまま食っている山崎さんに、目で救いを求めてみる。
「あ、もう食ってる。
新八くん俺にもチョウダイヨ」
どうやら関心がカレーのほうに行ったようだ。助かった。
それを皮切りに、ぞろぞろと学生さんたちが部屋に入ってきた。
居間で食べてる子もいるし、部屋に持っていって食べる子もいた。
ただその中で、気になる人がいた。