第2章 寮生活ひと月め☆
もちろん私の手書きの『駐車禁止』の紙のことだった。
ちょっと予想はできてたけど、この人が銀さん。銀時さんだと思う。
「そうですよ!ここはただでさえ狭い廊下なんですから、駐車しないでください!」
そう言ってビシーッとほうきの柄の部分を顔の前に突き出した。
「一階に駐車したら盗まれるかもしれねえだろ」
「普通に考えてみてください?
世の中のほとんどの自転車や車はどこに駐車されてますか?防犯の仕方は路上に停めたとしてもたくさんあるってことですよ!」
「おお、理攻めの女だね~めんどくさそ~」
なんですか!なんですか、この言いがかり!腹が立ちます。
よっぽど怒りが顔から出てたのか、
「まあ、そんなにカリカリすんなよ、すぐに持って行くって。ちょっと修理してたから部屋の近くに置いて(めんどくさくなったからそのままにして)たの」
と言ってなだめられた。
それにしても困ったなぁ。いいのかなぁ、家賃たぶんもらってないと思うんだけど…。まあ、あのオーナーだったら気にしないか。
こうして廊下はきれいさっぱり整頓されて、満足でございました。
恍惚とした表情で廊下を見ていると、スクーターを駐輪場に停めていた銀さんが、こちらに向かって手を振った。
手すりから身を乗り出すと、
「買い出しとか、行くの?」
と聞かれた。
時計を見ると4時を回っていた。
「そろそろ行きまーす」
「じゃあ、俺も買い物あるから一緒に行くわ」
という銀さんの言葉により、一緒に買い物に行くことになったのだが、なぜかスクーターで買い物に行くことになりました。
(スーパー…目の前)
と思ったけども周辺の安いスーパーを探すのもいいかもしれないと思い、銀さんの後部座席に座った。