第2章 寮生活ひと月め☆
風呂の支度を追え、三人でぽつりぽつりと立っている電灯の下を歩く。
「宮部さんは彼氏とかいるの?」
と、山崎さんが直球で聞いてきた。
「え、いないです…。生まれてこの方ww
女子高みたいなところだったって言うのもありますし、中学はスクールカーストがあったからなるべく目立たないように生きてましたからねぇ」
カースト下層ではなかったけども、男子と一対一で話せるほどの権力はなかったし…。
カースト上位は一部だから、女の子ってそういう子結構多いんじゃないでしょうか。
「え、スクールカースト?ってなに?」
と、山崎さん。
それを認識できないということは完全に上位の人だな。
「うーん、とにかく一目ぼれされるほどの美貌もないし、男友達もいないってこと!」
「そうか?俺は十分美人だと思うけどな」
どかーーん!
サラッと容姿を褒めてきましたよこのイケメン!
しかーし、それを真に受けるほど純粋な小娘でもないのである。
「そうですか?初めて言われましたよ。私は鏡を見るのは嫌いです」
正直、自分の顔は好きではない。好きで好きでたまらない人なんて一部じゃないかなぁ。
「変わった女だな」
本当は、‘ありがとう’ニコッ☆が正解なのかもしれない、と思いながらもどうしてもできなかった。
「そういうお二人はいるんですか!」
「「いいえ」いや」
ほぼ同時に答えた。
「すぐできそうなのに。なんでいないんですか?」
「うーん、宮部さんとほぼ同じ理由だと思うけど…イケメンじゃないし、女友達いないって言う」
山崎さんの理由はなんとなく理解できた(失礼)
土方さんなんて、イケメンという天性の武器があるのに。
…という視線で私と山崎さんは土方さんを見る。
「な、なんだよ。
結局のところは、相性だろ。合わなかったら惰性で一緒にいる必要もない」
ああ、[今は]いないってことですね。わかります。
そんな会話をしていると銭湯に到着した。
昭和感満載の銭湯で、アパート並みに古かった。
「じゃあ、またあとで」
そう言って別れた。