第4章 〜工藤優作の未解決事件(コールドケース)〜

沖矢「あ、電話するなら一言添えてくれませんか?」

蘭「…え?」

沖矢「───」


次いで聞いた沖矢さんの話の内容は事件のヒントで、私はすぐさま理解を示しクスリと笑った

そして、私も蘭ちゃんに言う


椎奈「じゃあ蘭ちゃん。私からも一言。『あの家の家紋を思い出してみなさい。姉さんはもう数分前には解けていた』ってね」

女子高生「「!!」」

沖矢「おや、椎奈さんはこの事件がすでに解けていたんですね」

椎奈「まぁ、推理小説家の娘ですし。姉なんだから早く解けないと…」


私がとっくに解けていることなんて、お見通しでしょうけれど。私はそんな意思を込めて、沖矢さんを見た







＊

蘭「あ、もしもし。私…蘭だけど…」


どうやら、電話が繋がったらしい蘭ちゃんと新一。
私と園子ちゃんと世良ちゃんに見守られ、蘭ちゃんが緊張気味に新一と話す


蘭「今、電話大丈夫?」

新一《お、お、おう…。朝お前が見た事件のことなら、さっきメガネの坊主から連絡が来たよ。警察が窃盗で処理しようとしてるって》

蘭「そ、そう。それとは別の!……あのことなんだけど…」

新一《あ、あのこと…?》


携帯に耳を近づけていれば、新一も緊張している声で話していた。
なんだか無性にウキウキワクワクしてきて、園子ちゃんと顔を見合わせると同時にニヤニヤしてしまった

そして、園子ちゃんが蘭ちゃんにだけ聞こえる声で彼女を急かし始める


園子「蘭、言っちゃえ!好きって!」

新一《な、なんだよ。あのことって…》

蘭「えっと、だから…」

園子「好き好き好き好き、だ〜い好き!!」


困惑気味で真っ赤な蘭ちゃんに熱烈プロポーズをさせる気満々な園子ちゃんが、興奮して好き好きコールを彼女に言っている

私はハラハラドキドキとその場で運命の瞬間を待ち構え、腕の中のユキも私の意思が分かるのか蘭ちゃんをジッと見ている


蘭「す、す、す……」


なかなか好きだと言えず、私たちをチラチラ見ながら頑張る蘭ちゃん

私と園子ちゃんの期待がますます強まる

しかし……



蘭「す、昴さんが!!」

新一《……え?》

園子「……え?」

椎奈「蘭ちゃん…そんな…っ」


大げさだが、私はショックのあまり力抜けヘニャリとその場に座り込んでしまった